正倉院文書調査

十一月九日より十三日までの五日間、宮内庁正倉院事務所(奈良市雑司町)に出張し、同修理室において原本調査を行った。本年度は、作成中の『正倉院文書目録』原稿に従い、続修後集について接続関係を中心とした調査を行った。これは、『正倉院文書目録』三・続修後集(一九九三年度刊行予定)編纂のための作業である。なお、本所の本年度後期非常勤講師として招聘した正倉院事務所杉本一樹氏と、この数年間の調査で得た成果をもとに、続修後集の中の、断簡の接続や形状の特殊な巻(巻十一、巻二十、巻二十二、巻二十八、巻四十三等)について、本所において数回にわたり検討会を行った。続修後集は、貼り継ぎが多いこと、原本の様態を保存している場合が多いこと、端継(巻二十二)や帙様(巻二十八)などの紙製品が含まれていること巻四十二・巻、四十三(買新羅物解)のように破片化した断簡があることなど、これまで目録に収載した正集・続修と異なった特徴を有する文書が多い。種々ご教示をいただいた杉本氏に謝意を表する。
                  (岡田隆夫・石上英一・加藤友康・山口英男)

『東京大学史料編纂所報』第28号